今年度大会・例会案内

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開会の辞 13:00~13:05    伊藤龍平(大会事務局・國學院大學教授)

研究発表 13:05~14:50

 斉藤竹善(大阪公立大学大学院・博士後期課程)
   「笑い話としての「天狗の隠れ蓑」について一江戸小咄、落語との関係からー」

 山本紗綾(國學院大學大学院・博士後期課過程)
   「火事にまつわる地蔵説話の受容-『延命地蔵菩薩経直談紗』説話を中心にー」

 川谷真(説話・伝承学会会員)
   「ヤマタノオロチ神話とオホナムチ冥界下り:関敬吾氏の仮説を中心として」

      (休憩 14:50~15:00)

講演 15:00~16:20

 飯倉義之(國學院大學教授)
   「説話/民話/怪談一話を集めるといういとなみに注目してー」

 吉田悠軌(怪談師・怪談研究家)
   「誰かの不思議な体験を語ること一実話怪談の現場からー」

     (休憩 16:20~16:30)

質疑応答・自由討論 16:30~16:55

閉会の辞 16:55~17:00    伊藤龍平(大会事務局・國學院大學教授)

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      <研究発表・要旨>

○斉藤竹善(:大阪公立大学文学研究科博士後期課程)
 「笑い話としての「天狗の隠れ蓑」について一江戸小咄、落語との関係からー」

  要旨:
 「隠れ蓑・隠れ笠」は、歴史的には鬼と結びつきが深い宝物として考えられてきた。しかし、民話においてそれが活用される「隠れ蓑笠型民話」の多くは「天狗の隠れ蓑」と呼ばれる、天狗が隠れ蓑を所有しているという筋の、笑話化か著しい民話となっている。発表者はこれまでの研究で、「天狗の隠れ蓑」が、鬼と隠れ蓑の結びっきの伝統から離れる形の民話であることから、その成立が比較的新しい民話である事を推察してきた。本発表では、「天狗の隠れ蓑」が成立しかと推測される江戸期における社会背景を踏まえ、それと関連するモチーフを含む小咄や落語の事例を検討していき、その中に「天狗の隠れ蓑」を位置付ける作業を行う。

○山本紗綾(國學院大學大学院文学研究科博士後期課程)
 「火事にまつわる地蔵説話の受容-『延命地蔵菩薩経直談紗』所収説話を中心にー」

  要旨:
 近世に入ると地蔵信仰はいっそう盛んになり、民間においても多様な展開をみせるが、この時代は多くの地蔵霊験譚・縁起などが刊行された時代でもある。中でも、1697年に刊行された必夢による『延命地蔵菩薩経直談紗』(以下『直談紗』)には、多数の地蔵説話が収載されている。説話の中では様々な地蔵の利益が語られるが、『直談紗』巻八第四・八・九・十・十一話など、火事に関わる利益を語る話が少なくない。同様の説話には、『地蔵菩薩感応伝』巻下第三十二話、『地蔵菩薩応験新記』上末第十三話などがある。この種の利益・説話は地蔵に特有のものではないものの、これらの地蔵説話が流布していく中で、当時の民間での地蔵信仰にも影響を与えたことが推測できる。このような地蔵の火伏せの利益について、先行研究では主に愛宕信仰との関連が指摘されてきたが、本発表では、類似する説話も踏まえながら、『直談紗』に見られるような火事にまつわる地蔵説話がどのように受容されていったかという観点から、当時の民間における地蔵信仰と火事に関する利益について考察したい。

○川谷真(説話・伝承学会会員)
  「ヤマタノヲロチ神話とオホナムチ冥界下り: 関敬吾氏の仮説を中心として」

  要旨:
 先の発表で、ヲロチ神話とバアル神話の関連性を明らかにした。両話の主な違いの一つは、「バアルと違って、スサノヲは冥界から復活しないこと」だが、ヲロチ神話と「オホナムチの冥界下り」を、本来一連の物語とみる関敬吾氏の仮説に従えば、この相違点は解消される。ただし、関説には有力な批判もあり、その可否を検証してみる必要かおる。まず、オホナムチ神による「越の八口」平定伝説について、ヲロチ神話の異伝とみる説があり、これは関説に有利である。が、同神の冥界下りは、昔話「悪魔の娘」の流れを汲むことが指摘されている。「悪魔の娘」とアンドロメダ型は一見無縁だが、ペルセウ不神話(メドゥーサ退治の場面)には、「悪魔の娘」の系列に特徴的な話素が多い。メドゥーサ退治(これに類する逸話)と、アンドロメダ型が接続する例は、昔話「二人兄弟」にもある。これらとヲロチ神話~冥界下りを比較すれば、関説の蓋然性は、充分に高いと認められる。

      <講演・要旨>
○飯倉義之(國學院大學教授)
 「説話/民話/匝談一話を集めるといういとなみに注目してー」

  要旨:
 一九九〇年頃より「実話隆談(もしくは怪談実話)」と呼ばれる、怪談本/隆談語りのエンタテインメントが活況を呈している。この実話尾談/匝談実話が「それ以前の怪談」と違うのは、体験者かその近親者に「取材して直接聞いた話」のみを、「作為なく」報告する、という姿勢を見せた点にあった。演出や創作が大半を占めていた「怪談本」ジャンルに、「体験者の生の語り」の価値を創造したのである。実話隆談/匝談実話の、話者から「話」を聴き「作為なく」報告する姿勢は、口承文芸のフィールドワークと相似している。実際、実話尾談/匝談実話本においてはしばしば、柳田國男『遠野物語』や松谷みよ子『現代民話考』を先達として称揚する言説が現れてくる。内容や方向性の違いはともかく、「語られた実話」を「集め」て「整理」するいとなみとしては同質であるだろう。本報告では説話・民話・怪談の「話を集めるいとなみ」に注目し、それぞれの差異を論じたい。

○吉田悠軌(怪談師・怪談研究家)
 「誰かの不思議な体験を語ること一実話怪談の現場からー」

  要旨:
 「実話匝談」が明確なジャンル概念として成立、認知されるようになってから三十年ほどが経つ。その間、実話尾談に携わる人数は着実に増加し、書籍やライブや動画配信などの娯楽産業としても年々成長し続けている。特にここ数年ぱブーム”と称されるほどの活況を呈し、書き手・語り手のフレイヤ一層及びそれを受容するファン層の規模は無視できない大きさとなった。
 実話怪談とは、特定の個人の不思議な体験談を取材し、それを再構成した物語を語り継いでいく行為だ。これだけなら従来の「世間話」「都市伝説」といった概念から相違も逸脱もしてはいないように見える。しかし体験者の実在を担保し、取材者・再話者のパフォーマンス能力を重視し、多くの人が表現活動・商業活動として求めている、といった側面は実話尾談ならではの特徴といえよう。
   では具体的に実話怪談の関係者はどのような活動をおこなっているのか。その方法と状況について、二十年近く現場に携わった立場から解説していく。

     冬季大会ポスター

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 今年度春季大会については、過去の大会のページを御覧ください。

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